ささほ(小説の冒頭しか書けない病

Open App

きっと明日も

夕空を見上げる。もうすぐ日が落ちて、丘の下に見えるどの家も夕食の時間を迎えるのだろう。ぼくは今日のことを思い出す。祝日だからゆっくり寝ようと思ってたのににーちゃんに起こされて釣りに行った。いつもの七曲りの池で女の人に出会った。長い綺麗な黒髪の女の人だ。

「あらまた会ったわね。75回目くらいかしら?」

女の人が言うにはぼくたちは何度も何度も同じ一日を繰り返しているらしい。もちろんそんなの嘘だろう。にーちゃんは女の人を睨みつけ「それをこいつに言うな、こいつを絶望させたくない」と言い出した。ぼくは女の人と言い合ってるにーちゃんをほっといて森に出かけて一日遊んでた。夕方の空の雲は毎日昨日とは違う。きっと明日も違う。

にーちゃんはなんであの女の人とあんなに口論したのだろうか。ぼくは明日もあの女の人に出会うのだろうか。そのときぼくはいまのこの思いを覚えているのだろうか。

9/30/2024, 10:44:58 AM