子供のままで
あの時、確か僕は十五歳だった。
いや、十四歳だったか。
あの日は梅雨だったので、多分十四歳だ。
相沢由紀の不規則な拍動が、止まったあの瞬間。
ピ、ピ、ピ。
雨の音の隙間を縫うような不規則な音に耳を澄ませた。
が、いつの間にかその機械音は止まり、
雨の音と、彼女の母親の口から溢れる微かな声が、
病室に響いた。僕は泣けなかった。
この世に存在している全ての負の感情が
同時に襲ってくるような不気味な恐怖は、
十四の僕には早すぎたのだ。
泣くことは、できなかった。
シーソーが揺れるように、
由紀の死を疑ったり認めたりを繰り返していた。
窓を打つ雨の音が、少しだけ強くなった。
人生のピークは十四歳だと今自信を持って言える。
これから先も、十四歳の日々を超えることはない。
「ね、今日、夜公園に星観に行こうよ」
彼女は笑顔で僕にスマホを見せた。
「今夜、流星群あるんだって!」
断る理由はないが、「いこーよー!」とすね気味?に
僕に言う由紀は、少々面白い。
「行かなかったら私、早死にしちゃうかもよ!」
ネタなのか真面目なのかわからないが、
彼女は真剣な時、視線を不自然に揺らす癖があるので、
多分ネタだろう。
「変なジョーク」
「行くの!行かないの!」
「いこうよ、2人で流れ星に願い事でもする?」
「やった!いこいこ!」
彼女はよく笑う。由紀は、笑顔がよく似合う。「あっ、でも願い事はガキっぽいからやかも」と由紀は軽く呟いた。
「じゃ、詳細はラインするから!!」
「りょーかいです」
「願い事なににするの?」
(長生きできますようにとかだったりして)
「えー、そういうのって人に言うと意味ないやつでしょ」
「あー、そうなの?」
「まあ、多分」
「僕は今のうちに願い事決めとくから」
「へえー」
「あ、!」
空に一筋の光が降った。
(……大人になっても、由紀の隣にいたい。)
「なに?真剣に願い事してんの?」
由紀が悪戯っぽく軽く笑う
「願っちゃ悪い?」
「……さあ?いいんじゃない」
「ゅ、き?」
仕事終わり、無人駅。
いつか続き書く
5/12/2026, 10:54:02 AM