――――――カンッ
ぼやぼやとしていた朝の空気が、しゃんと張り詰めるのを身体で感じる。
矢を放った本人、ひかり先輩は静かに息を吐いて張り詰めた空気を現実に戻した。
俺、相原みことはこの朝の瞬間が大好きだ。
「ひかり先輩! すごい、ど真ん中!」
思わずぱちぱちを手を叩くと、先輩はフェンスの外側にいる俺に気づいて弓を下ろした。
「みことくん、おはよう。今日も早いね」
「おはようございます先輩。そんなことないですよ、先輩のほうがもっと早いじゃないですか」
ふふ、と柔らかく笑う先輩に心臓が儚く音を吐いた。
錆びついたフェンスのドアを後ろ手で閉めて、弓道場に上がる。錆びついたフェンスのドアが閉まりにくくなっているのを感じている、最近のこと。
誰もいない時間帯の弓道部の朝練は、先輩と共有できる唯一の時間だった。
冬晴れ #161
俺だけがいない先輩の世界で(題名候補)
(ここにおいての抱負決めました。書きたいものを書ける限り。ですかね。
…って、書く時間がなーい)
1/6/2025, 9:39:59 AM