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Theme:君からのLINE

突然、君からLINEが届いた。
珍しい。LINEを送るのはいつも僕からなのに。

メッセージを見て更に驚いた。
「明日、横浜に行くんだけど、少し会えないか?」
用件だけのシンプルなメッセージはいつも通りだけど、まさか会うお誘いとは。
出不精な君が僕の自宅の近くに来ることだって珍しいのに、更に会おうだなんて。
とりあえず「いつでもいいよ!何時頃がいい?」と返事を返す。
用件はあえて聞かなかった。なんとなく聞くのが怖かったから。

久しぶりに見る君の顔は、以前にリモート飲み会をしたときと変わらないように見えた。
予約しておいた居酒屋に入って、しばらく当たり障りのない話をする。
…なんだろう、この緊張感は。
君は本題を切り出すタイミングを見計らってるように見えるし、僕は本題を聞き出す隙を伺っている。
一体、何の話なんだろう?聞くのがどんどん怖くなってくる。

「…ところでさ」
世間話が途切れたところで、君がおもむろに口を開いた。
(来た!)
僕は思わず姿勢を正す。緊張を誤魔化すためにビールを口に運ぶが、味がわからない。
宗教とかマルチの勧誘?生活環境に大きな変化があった?それともまさか…。
逃げ出したいような気分を必死に堪える。

君も同じくビールを一口飲むと、真顔になる。

「今度、こっちの方でやるイベントに行きたいんだけど、家に泊めてくれないか?」
「……はい?」

君はそういうと照れ臭そうに笑った。
「こっちの方にほとんど来たことがないから、今日は練習がてら来てみたんだ。交通費とは仕方ないにしてもホテル代が高くて…」
「…えーと、本題ってそれ?」
「うん、そうだけど?」

LINEが来てからずっと悶々と悩んでいたことは、こうしてあっさり氷解した。
自分の想像力の逞しさに呆れつつ、僕は快諾した。
君の嬉しそうな顔が見られてよかった。
それにしても我ながら心配性すぎる。今度、君が泊まりに来たときの笑い話にしよう。

9/15/2023, 11:33:11 AM