→夏が来る。
空の蒼が深くなり、雲との境が鮮明になる。雲の白が際立つ。日陰が建物にこびりつくように黒く短くなる。
長袖から半袖へ一気に駆け抜けるように、服装が変わる。衣替えも間に合わないような変遷。
少し外を歩くだけで、肘の内側に汗が溜まり、薄手の服の下に熱が籠もる。
昨日まで飲んでいたコーヒーや紅茶よりも、炭酸水が飲みたくなる。弾ける水の喉越しが、暑さを喉から弾け飛ばす。
昼間、気だるい気温に包まれて、私は本に手を伸ばす。
もう何度も読んだマルグリット・デュラスの作品たち。ラマン、モデラート・カンタービレ、夏の夜の10時半、C'est tout.……
デュラスを読むのは、絶対に夏だ。
テーマ; 夏の気配
6/28/2025, 4:07:46 PM