目が覚めると、ただ白が続いているだけの世界に来ていた。僕はきっと夢だと思い頬をつねってみた。痛みはあった。という事はここが夢の中ではないという事はわかった。あんまり頬を強くつねりすぎたので、僕は思わず目を瞑ってしまった。すると僕はさっきの白が続いているだけの世界ではないどこか違うところに来ていた。きっとこれが転生というやつなんだろう。それにしても、あの謎の白い世界は、、なんだったんだろうか?そしてここはどこだろうか?そんな事を考える余地もくれずに、ある少女が僕の目の前に現れ、僕を興味深そうに覗き込んできた。そんな彼女に少し不気味さを感じながらも、ここは他に人がいるような街ではあったのもあり、この子を親の元へ連れて行こうとした。だが、周りを見てみると、この子の周辺に親らしき人物もいないし、ひとまず街から少し離れた公園に行ってみて、その子にいくつか質問をしてみることにした。まず僕は何も話さないこのこを元気づけてみようとブランコに誘った。彼女は少し目を輝かせ、何が楽しいのかわからないが、嬉しそうにブランコを漕ぐことなく座り続けた。僕は彼女の前に立ち、彼女に少し質問をしてみた。
「パパやママはどこ?」
「・・・」
この子は何も言わずに少女とは思えない上目遣いで僕の目を見るだけだった。彼女の水色のアジサイのような色をした目にはどことなく寂しそうな感じを漂わせていた。すると彼女は急に口を開いた。
「あのね、おかぁさんはね、ちょっとね遠くにね、行ってるだけなの、おとぉさんがね、そうゆってたの」
彼女は少し焦ったように早口に言った。僕は彼女の言葉が少し引っかかってしまい、もう一つ質問をしてみた。
「じゃあ、お父さんはどこにいるかわかる?」
「お、おとぉさんは・・」
彼女はどこか気まずそうに口をもごつかせ、俯いていた。すると彼女は驚くほど掠れた声でこう言った。
「おとぉさんは、、えっと、今はいない二年前病気で死んじゃって、、」
僕はそれを聞いて絶句した。まだまともに漢字も読めぬような歳の子がたった一人で暮らしているということに、、でもその直後彼女は少しだけ元気を取り戻し、こう続けた。
「でもね、おかぁさんはいるよ!ここにはいないけど、」
彼女の無邪気さと無知さに僕は、心を縄で締め付けられるような気分になった。彼女は絶望になるかもしれない母親という微かな希望を抱き続けて生きてきたんだろう。僕はやっと気づいた。彼女の小さな目の奥にある大きな寂しさの真意を、でも僕はこの子のとても微かな希望を打ち壊してしまう事を恐れた。僕はそんな自分を隠すために彼女に協力することにした。彼女の母親という微かの希望を見つけることが僕ができる最大限の自分の気持ちを隠す術だった。僕は一緒に探しに行くことにした。母親という彼女にとって最大限の希望を
こことは違うどこかへ、、
【こことは違うどこか】
6/27/2024, 1:58:18 PM