灰田

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「これまでずっと」

これまでずっと氣付かなかったけど、たとえば……
君の笑った顔に移ろう木漏れ日を見ることで、
それだけで私は、小さく変わる。

元には戻らない。

きれいだな…と言葉には出さないけれど、ささやかな葉擦れの音とともに、私の胸にも焦がれる思いが満ちて来て、

その分、確実に何かが変わる。


その時を未だ知らぬ私から、知った私ヘ変わる。

微細な透明な生き物みたいな時が、
この、私と出会って、この私に、変えて行く。


(…どうしても変わらざるを得ないなら、時と反応してシャーレの中の生き物みたいに、
変わって行かなければならないなら)

どんなに悲しい時が降っても、優しい私に変わると決めよう。

「優しい」がどんな優しさかも、見極められる目を持とう。



これまでずっと氣付かなかったけれど、
時よりも、木漏れ日よりも…君よりも、この心が、

どこに辿り着こうとしているか。
どこに辿り着きたいのか。

だから、これから先、何が起こったとしても、
何ひとつ、君のせいなんかじゃない。






7/12/2024, 10:44:46 AM