-ゆずぽんず-

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皆様、お久しぶりでございます。
そして、おはようございます。


今日は、この季節に少しでも涼やかで穏やかな気持ちに慣れるような叙景詩(叙情詩)を詠みました。互換を研ぎ澄まして、想像しながら読んでみてくださいませ。





『芽吹く葵い輝き』

土や草木の香りに抱かれて
日陰の畝に顔を出す
逞しくもか弱い小さな姿
足元はすこし冷えて
肌寒い

朝露に頭を垂れて
一粒の滴りが大地に沁みる
影が散歩に出掛けると
柔らかな日差しが
幼い肩を抱き寄せる
足元に低く伸びる
葵色の影

風に誘われて
辺りを駆け回る花草の香りに
伸びをして
胸を大きく膨らませる

鳥や虫の声が
会話を始めると
音に満ちた営みが
辺りをそっと包み込む

心もとない小さな身体を
隠す陰はなく
頭上から注ぐ光のシャワー
惜しまず浴びて
明日へと蓄える
一陣の風と遊ぶ雀に
手を振って傍へと招く
僅かな暇を共にして
またどこかへと飛んでゆく

山陰に沈みゆき
別れを告げる太陽と
夏に詩を詠う儚い聲
またと背を向けて
空を羽ばたく烏の群れ
ひとつ鳴いて
山肌へとその背が消える
来た道を戻る風に
明日の朝と
頭を下げて見送る

鈴の音に
返すように蛙の声
小さく響いて
欠けの月のほのかな灯りに
静かに唄う

やさしく撫でる
風を掛け布団に
フクロウの詩枕に
深く眠る

7/24/2025, 10:31:57 PM