紅型

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10代最後の歳に。


好きでたまらなかった人から
別れを切り出された。



飲めなかった。

嘘だ嘘だ
明日になったらあの人が別れたことを後悔して
私の元に戻ってきますように

毎日そう願っていた。


私には彼しかいない。
永遠にあの人を忘れることができないだろうって毎日苦しんだでいたのに。



今はそれを思い出して微笑む。
若かりし頃の良い思い出だ。
それを同じように失恋した我が子にも話し。
同じように我が子もそれを超える。


大丈夫。
時間という妙薬が
無理せず暮らしながら塗り込まれていくものだから。


氣が付けば
死ぬほど苦しかったその失恋は、
半世紀生きた今の私の
一番の財産になっていた。


人間なんてそんなもの。
人生だってそんなもの。
時を使ってちゃんと生きていけるから
ありのままで暮らしたらいいよ。

無理せずね。

6/3/2024, 6:36:11 PM