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君だけのメロディ

僕達の高校の吹奏楽部は、毎年全国大会で
上位に入選する それなりの上位者だった

そんな僕達だけど しかし全体練習を開始すると それぞれの個性が出るのかどうしても集団のオーケストラの体制になると
音を外してしまう人も出て来る

そう言う人は、個人練習になるのだが
中でも一際目立ち注意されるのが君だった

君は、規律だったメロディが嫌いで
楽譜通りに曲を奏でるのが苦手だった

いつもいつも部活の顧問の先生に目を付けられる君 そのたびに周りは、呆れた様な
ため息を吐いたり 迷惑そうな視線を
向けるのだ。

しかし 僕は、ある日見た 君が誰も来ない中庭の裏側で一人で自分の楽器である
バイオリンを弾いている姿を.....

その時の音を何と表現して良いか分からない 文字なんかでは、とても書き現せられない..... 君だけのメロディラインが
そこにあった.... まるで五線譜から音符が
飛び出して来て君の周りで踊っている
様だった....

楽しそうな君の音に僕は一瞬こっそり見て
いた事も忘れ 思わず手拍子をしそうに
なった。 慌てて自重したけど....その位
体が自然に動き出した。.....


その後 君は、吹奏楽部を辞めて
新しく僕達の高校にできた音楽系の部活
軽音部に転部して行った。

確かに君には、オーケストラより
バンドの方が合っている あの音を聞いて
僕は、そう思っていたので心の中で納得していた。

周りは、君を特に止めなかった。
寧ろやっぱりなあと言う感じであった。

しかしその年の文化祭で君の音を聞いた
吹奏楽部の人達は、君の作ったバンドに
最大級の拍手を送る事になるのだが
この時は、まだ誰も知らない未来の出来事の別のお話しである。

6/13/2025, 10:58:39 PM