Sarang

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小さな命

10代の頃、私は妊娠した
彼は私と結婚するつもりで付き合っていたんだと思う
妊娠が分かった時、
彼は迷わず産んで欲しい
結婚して欲しいと言った
私にはそんな考えが全くなかった
彼は少し年上で十分に稼ぎもあった
結婚はするつもりは全くないとすぐ言い切れたけど、
子どもに関してはすぐに答えが出せなかった

私の父親は異常な程厳しい人だった
正確に言うと厳しいと言うよりは、自分の所有物(私)が思い通りにならないと胸糞悪くなり暴力を振るって従わせると言う頭のオカシイ奴だ
人がいようが引きずり回して、殴る蹴るなんて当たり前で父親にとってはなんてない事だった
母親に冗談ぽく
デキ婚したらどうする?と聞いたら、
真顔であんたもお腹の子も間違えなく(父親に)殺されるだろうね
と一言だけ言った
結婚前に娘が妊娠するなんて、父親にとっては恥をかかされるのと同等である
私の気持ちより何より我が家での決定権は父親にしかない
あの頃の父親なら、平気で人を殺しかねなかったと思う
それくらい異常な人だった
私は結局産まない選択をした
彼は最後まで土下座してまで産んで欲しいと言ったけど、私は父親を思うと産む選択は絶対にできなかった
私が絶対に産まないと決めてからは、彼もしぶしぶ承諾した
私は外泊なんてできないから、闇医者で堕胎手術をする事にした
彼は良い病院で入院もして欲しいと言ったけど、外泊なんて許される家じゃなかった
妊娠さえ阻止できれば、一生産めない身体になっても仕方ない
どんな方法でも良いから、父親にバレる前に手術しなければ…
それしか頭になかった

私は自分で自分の子どもを殺した

私は自他ともに認める大の子ども好きだ
産まない選択は今までした選択の中で一番辛く、したくなかった選択だった
手術後、あんなに大声をあげて人前(彼)で泣いて罵ったのは後にも先にもない
彼は私との結婚を望んでいたから、子どもができれば私の考えも変わると思っていたんだと思う
だから、ゴムをつけずに妊娠するような事もした
私は怒り狂ったし、もう絶対にあなたとはできないと言う事も言った
絶対にしないと約束するも、約束は破られ私はすぐに妊娠した
若かったとは言え私にも責任はある
その後彼とはすぐに別れた

それから数年は私が産んだ赤ちゃんをあやしていたら首がもげたり、私が産んだ赤ちゃんが死んで呆然とする夢をずっと見続けた
私は自分で自分の子を殺したんだから、恨まれるのも憎まれるのも当たり前だと今でも思ってる
ずっと夢に出て来てくれてもいいとも思ってる
罰は受けるべきだと思うから

今だに産んでいたら◯歳だなと考える
私には子どもを産む権利なんてないと今でも思う
私は妊娠もして堕胎手術もしてるから、若い子にゴムつけろとか言う権利はないかも知れない
でも私みたいな思いはして欲しくないと思う
身体を傷つけて欲しくないと思う
防げる苦しみは防いで欲しいと思う
私は何十年過ぎても小さな命を奪った事、我が子を殺したと言う罪が消える事がない

2/24/2023, 5:52:57 PM