ずっと憧れてたの。
まっしろいドレス、きらめく指輪、
タキシードを着た大好きなあの人と歩く道。
ただ、訪れる別れには、
最後の最後まで、目をつぶっていた…。
あのね。
『お祝いだから』って、
はりきってご馳走を作ってくれた時、
「本当は行かないで欲しい」と、
目が訴えているの知ってたよ。
だからあたしも、
「もう少しだけ、あなた達の娘でいたい」と、
思っちゃったよ。
今日、純白の晴れ着に包まれて、
父母の大きな手を離れ、大切な人の元へゆく。
堪えきれっこないと分かりながら、
溢れる涙をむりやり奥に押し込めて、
やっぱり不格好に震えた声で伝えた。
「今まで育ててくれて、ありがとう」
▼さよならを言う前に
8/21/2022, 1:16:41 AM