青砥

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一年後
僕は余命宣告を受けた。
残りの命はあと一年ほどらしい。
今僕には彼女がいる。
もう付き合って4年が経ち、いい歳になってきた僕と彼女はなかなか会えずに、でもお互いを想い合える。
終電まで飲み明かした日もあった。
その度、彼女は「いつプロポーズしてくれるの!!」と言っていた。
自分は、その度に覚悟が出来たらね、と言っていた。
でも次会った時ケロッとしてたし、プロポーズをしてほしいとは言っていなかった。
でも、それが本音なのは誰よりわかっているから。
だから、プロポーズをしようと4ヶ月分の指輪を買うために必死に、がむしゃらに働いた。
そのせいで会えてない期間が長くなってしまった。
でも、お互い電話もするし
LINEなんかもするし
電話先で笑ってる彼女を僕のものにしたい
そう強く思っていたのに。
仕事先で急に倒れ、搬送されて、ほぼ手遅れの病気だと分かるまでは遅くなかった。
僕は、彼女が忙しいことを知っていて
でも彼女にとても会いたくて。
でも痩せていくし、何もできなくなっていて。
彼女に病気だとは伝えられなかった。
優しいから、毎日見舞いに来てもらっては彼女の仕事に支障が出るだろう。
残り一年の命だから、こんな僕よりいい人がいるだろう。
彼女ほど良い人はいないんだから。
彼女と電話をやめ
お酒なんて飲めないから飲みながら愚痴聞くことも、
あの「いつプロポーズしてくれるの!!」も聞けない。

もう、僕は無理なんだ。
そう思った瞬間からは行動が早かった。
彼女に対しての愛は勿論あるし、僕の、僕だけの彼女をブロックした。
LINEも、GPSアプリも、インスタも、全部。
流石にブロック削除なんて出来なかったけど。
これが僕のやり方だった。

今日、僕は余命宣告を受けて一年が経った。
僕は生きるかもしれないが、かなり醜くなってしまった。
もう、彼女には会っていない。
僕のことを忘れただろう彼女を想い
僕は自ら命を落とした。

5/9/2024, 1:16:43 AM