部活帰りの蒸し暑い日だった。
「思ったことがあるんだけど、」
「なに?」
「私達、いつまで友達でいられるかな?」
なんとなく思い浮かんだことを、
隣に並んで歩いている友達に聞いてみた。
私より少し背の低い友達は、
私の顔を見上げて不思議そうな顔をした後、
顎に手をあてて何やら考え始めた。
彼女のポニーテールが小さくゆれる。
お互い何も言わず、時間だけが過ぎていく。
別れ道が近づいてきたため、
声をかけなくては、と口を開こうとした。
それと同時に友達はパッと顔を上げた。
そして、勢いよくこっちを見る。
思わず後ずさってしまったが、
友達は気にせずに口を開いた。
「さよならの日まで!」
「え?」
「どちらかが死んだときまで!」
「急に重…」
「ひどい」
私は顔をしかめる。
そんな縁起悪いことをよくも簡単に…
と思ったが、確かにそれも一理あると納得する。
すると、友達はさらに続ける。
「もしかしたら、大喧嘩して絶交になったり、
会えなくなったりする日が来るかもしれない。」
彼女は空を見上げた。
私もつられるように空を見上げる。
雲ひとつない晴天だった。
「でも、それは未来の話でしょ?少なくとも、
私達には”今”がある。」
今を楽しく生きようよ!
その言葉が私の心に刺さった。
確かに、そうだ。
未来がどうなろうと、”今”がある。
私の顔を笑顔で見つめている友だちを見て思った。
今、友達や家族と過ごせているこの時間。
そんな”今”を大切にしたい。
- 大事にしたい -
9/20/2024, 2:00:36 PM