鳥かごに詰めたはずの青い鳥。昔、森に住む魔女からもらった、空色の羽が美しい綺麗な鳥。
堅く鍵をかけたはずなのに、気づけばいつの間にかいなくなっていた。
鳥かごを手に一生懸命に呼び回っても声すらも聞こえない。仕方がないから色々な鳥を詰めた。でも何が悪いのか、すぐに死んでしまう。
ある日、鳥かごに押し込んだ黒い鳥がしわがれ声で言った。持っているものを見ない人間に青い鳥は似合わない、と。
あの青い鳥は、私を幸せに導くという鳥だったのだ。それを探し求めて何が悪いのか。私はむっと口を引き結ぶ。
幸せを求めるのがそんなに悪いことなの?それにあれは元々私のものだったのよ。
私の言葉に、黒い鳥は話にならない、とばかりに羽を震わせる。そして、一声鳴くと空へと飛び立っていった。どうせ黒い鳥だ、逃したって惜しくもない。
空っぽの鳥かごを覗くと、そこにはなぜか青い羽根が落ちていた。ずっと探していたあの綺麗な青だった。
私は慌てて窓に駆け寄った。黒かったはずの鳥の羽が抜け落ち、鳥はあの美しい空色に変わっていた。
鳥は一瞥もせず空へと舞い上がる。伸ばした手ももう届かない。
私は青い鳥を逃がしてしまったのだ。幸せを追い求めすぎるあまりに、手にしていた青い鳥に気がつかなかった。
嘆く私の上を通り過ぎ、青い鳥は遠い空へと去っていった。ただ空を見上げ咽び泣くことしかできなかった。
7/25/2024, 2:16:41 PM