寂しい…
あの事件が、あってから。
私は天涯孤独だ。
一人の男によってそうなってしまった。
あの日、私は帰宅を急いでいた。
親戚一同揃う特別な日。
家族大好きな私は浮足立っていた。
家のドアを開けると
生臭い匂いが鼻腔を攣り抜ける
急いで部屋に急ぐ。
其処には忘れたくても忘れられない悍ましい
記憶。
部屋の中は死体で溢れかえり、
ソファー。カーテン、床にも血が跳ね返り
床には血で水溜りが出来た。
其処からの記憶は曖昧だった。
ニュースには"一族殺害事件"と題され
幸い犯人はすぐ逮捕された。
だが、家族が戻る事はない。
孤独感が私を襲った。
あれから施設に引き取られ、5年がたった。
周りも事件を知っているので、
気まずいのだろう、声を掛けてくれる人もいなかった。
周りを見れば幸せそうな家族が溢れ、
カップルも多く見かける。
私もあんなことがなければそうなっていたのだろうか?
でもあの記憶を消すことは出来ない。
周りに人がいない私は孤独だ。
「寂しい…私も連れて行って」
家族のお墓の前でそう願うのだった。
12/19/2024, 10:34:54 AM