19歳の頃、友達と文通をしていた。
彼女は同じ市内に住んでおり、暇な時はよく電話で話したり、月に何回かは一緒に映画を観たり美術館へ行ったりご飯を食べたりと、なかなかの高頻度で会っているにも関わらず、更に文通をしていたのである。
喋ることと、字を書いて伝える事は違う。
手紙には、例えば最近観た演劇や映画の事、好きな本や詩の紹介、季節の移ろいに想いを馳せたり細やかな心情とかが書かれていて。
音を立てて花開くような、そんな手紙をいくつも貰っていた。
でも、仕事が忙しくなったりライフステージが変わってきたりして、その頃と同じままではいかなくなってきて段々疎遠になってしまった。
もう彼女と会う事は無いのかもしれないけど、この手紙を捨てる事は出来ないでいる。
むかしむかしの幸せの底、
「星を数えているうちに、大人になったらいいなぁー」
なんて言っていた、あの頃。
7/24/2024, 4:52:39 PM