助けてくれーって
大声で助けを求めてみたら
きっと誰かが…。
そんな他人任せなこと言わない。
私が助けてあげる。
だから何回でも叫ぶんだ。
駆けつけて、
話して楽になれ。
話すのが無理ならそばに居る。
寂しいなら抱きしめてやる。
そう、強く言われたんだ。
猫の悪魔。
出会いは雨の日。
私は雨が好きだから
雨が降っていると、
意味もなく散歩をする。
ふと、川辺で寝そべっている
黒髪の綺麗な人を見かけた。
傘を持たずに
ただ雨に濡れていた。
私は気になって話しかけた。
傘を持っていないと言った彼女に
私は差していた傘を渡した。
これでは私が濡れてしまうと
受け取れないと、
彼女は傘を返してきた。
いいから使ってくださいと
私が再び傘を渡した時、
何故か涙が溢れた。
悲しいことも
嬉しいことも
無かったのに。
彼女は慌てて、
私の家が近いからと案内してくれた。
そこでたくさん話を聞いてもらった。
毎日がつまらないこと。
親が過保護で
何でもかんでも聞いてくること。
私だけが時間に置いていかれていると
感じること。
どうしても前に進むことが出来ないこと。
全部話し終わると
彼女は自分が
猫の悪魔であることを明かした。
何で言ったのかはわからない。
けど、
悩みをなんでも
打ち明けれる友達が出来た気分で
私は少し嬉しかった。
ある日
私は彼女の家に行った。
この日も雨だった。
雨か涙かわからないほどずぶ濡れで
私は彼女にこう言った。
ここじゃないどこかへ行きたい。
連れて行って欲しい。
助けて欲しい、と。
彼女は私を抱きしめて
私をおんぶし、
大きな猫に変身した。
そして大きな鏡が現れ
中に入ると広い草原があった。
強い風が吹くばかりで
雨雲は見えない。
雲が所々ある晴れだった。
"Good Midnight!"
あの時彼女と出会ってなかったら
今頃私は
何処でどう暮らしていたんだろうと、
たまに考えてしまう。
10/3/2025, 3:56:17 PM