夜汽杏奈

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「神様へ」   
         夜汽杏奈

一番初めに貴方に逢ったのは
小学三年生の時
学校から帰宅後
「お友達と遊んで来なさい」という母に
「お友達と遊んでくる」と言い
高間町のマンションの横の芝生で
いつも独りで時間を潰してた

ある時
小さな虹色に光る白い蛇の赤ちゃんを
何匹も何匹も見つけた
私はジャムの空き瓶を家からこっそり持ち出し
その瓶に入れて遊んだ

いつも独りだった幼い私は
その美しさと可愛さに夢中になり
世界全てが怖かったことを
忘れていた

オレンジ色の光を見てから
独りで遊んでいることを母に知られ
芝生には行けなかったから
マンションとマンションの隙間に
隠れて過ごす様になった

寒い日も暑い日も
私の傍にいつも白い虹色の天使がいて
毎日楽しい話をしてくれた
王子様が出てくる話や、草花も鳥も
お話ができるんだとおしえてくれた

学校から帰宅後いつものように
「お友達と遊んでくる」と言い
マンションとマンションの隙間に行くのが
楽しみになっていた

手のひらでくるくると羽を拡げ
蝶の様に踊ってくれたり
時には白い虹色の蛇の赤ちゃんになったり
ずっとおしゃべりしてた
日暮れまでが長い長い時間だったのを
忘れさせてくれた

綿菓子のような雪がひらひら舞う日
私は寒さで倒れて近所の人に見つかり
「もう、友達と遊ばなくていいのよ、ごめんなさい」
病院のベッドで
母の言葉と手の温もりに安堵してから
白く虹色に光る貴方は居なくなった

逢いにも行かなくなった

大人になって
貴方の存在を思い出したのは
44歳を過ぎてからだ

いつもたくさんの愛を与えてくれたのに
私は何も気が付かず
感謝一つできなかった

私を助けてくれた全ては貴方だった
あの時からずっと傍にいてくれた
何かに守られているとどこかで感じてた
前前前世から
私はたくさんの裏切りをしてきたのに
貴方は変わらず愛してくれた
自分を犠牲にしても
世界を恨んでも
全ての幸せを私にくれた

神様へ
ずっと、愛してた
これからもずっと、愛してる






4/15/2023, 3:55:52 AM