内蔵が背中から飛び出しそうで、吐き気がし、体が地面にぶつかりそうになる。
その瞬間、フワッと浮いた。
今度は足から体が投げ出されそうになる。
手を離したらどこまでも飛んでいけるかもしれない。
どこまでもどこまでも
あの雲の向こうへ
どこまでもどこまでも
国境を越え、見知らぬ街まで
「おじさーん、ブランコ替わって」
隣には少年が立っていた。
春の陽気のせいか、知らぬ間にブランコで寝ていたようだ。
行くあてもなく、近くのベンチに座った。
少年がブランコを大きくこいでいる。
私はただそれを目を細めて見ていた。
#18 『ブランコ』
2/1/2023, 11:04:06 AM