小絲さなこ

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「雨宿りの時間は終わらない」



それは、ふとした瞬間だった。
今までただの幼馴染だと思っていた君が、きらきらと輝いて見え始めたのだ。そして、自分の胸もドキドキしていることに気付いた。

降り続く雨。
止む気配がない。
雨宿りの時間は終わらない。
激しくなる雨音を追いかけるように、体内を駆け巡る。


あぁこれは、アレだ。
認めたくない。
なぜ気付いてしまったのだろう。

君は無自覚に距離が近い。
今も隣に座っている。ごく自然な流れで。

付き合っていない男女の距離ではない。
だが、今さら離れようとも思わない。


そういえば、君は雷が苦手だったな。


近づいてくる雷。
びくり。震える肩を思わず抱き寄せた。

こんなにぴったりとくっついてしまえば、いくらなんでも気付かれてしまうだろう。
だが、これで君が少しでも安心してくれるなら……


────胸の鼓動

9/8/2024, 3:06:40 PM