あいまいな空/
曖昧な空を背に映るのは
あいまいな君の顔。
空模様がちがったら
君の心は変わっていたかい?
僕は君が笑ったのを一度だけ見たことがある。
君は言った。
もう、生きるのが馬鹿馬鹿しくなっちゃうわね。
理由を尋ねると
だって私達最後は死ぬでしょ?
あの世にはなんにも持っていけないのよ?
なのにどうしてこの世界は欲で渦巻いているの?
私にはわからないわ、と。
僕は短絡的な頭でこう答えた。
最終的にはそうかもしれないね。
なんにもならないかもしれない。
だけどさ、用を足したいからって物を食べる人間はいるのかい?
用を足すために物を食べます!なんて言ってる人がいたら出てきてほしいもんだけどねぇ、と。
そしたら君は一瞬、間をおいて
ふふっと笑ったんだ。
そうね、死ぬために生きてるんじゃないわね。
今だけ、一瞬だけでも幸せなら最後にはなんにもならなくてもいいのかもしれないわね。
そして君は頬を少し緩めながら
グラスのお酒をさらりと飲み干した。
写真を撮ったのはその前の晩だった。
今日という日に撮っていたなら。
君は今でも僕の隣にいてくれたのだろうか。
あいまいな空模様。
もう一度だけ君の笑顔に触れたい。
好きな本/
わたしの好きな本は
教えたいけど教えたくない、そんな本。
1年前/
1年前を強く認識するには
1年後を見据えて今日という日を
意識して生きなくちゃいけない。
そんなの毎日なんて続くはずないから
わたしは1年前というのを強く認識できたことは一度もない。
いつ何をしていたかなんて日記でも
付けない限り覚えている訳が無い。
わたしの頭の中は1年単位で区切られている訳じゃなく生まれてから死ぬまでが1単位だからだ。
わたしにとっての恐怖の言葉は
去年の今頃何してた?である。
昨日のことすら
思い出すのに苦労するというのに。
そしてわたしは答える。
あー
多分そんな感じだった、かな?
多分ね?
納得できてなさそうな周りの顔は
無視するとしよう。
未来/
未来から贈られる物は今のところ
非科学的な人らの言葉だけ。
予言者、霊能力者、超能力者、
宇宙の謎くらい興味深いが
わたしが生きているうちに解明はされないだろう。
そもそも未来なんてものあるのだろうか。
そんなものただの幻想で
あるのは今だけじゃないだろうか。
そして歩いてきた道を過去と呼び
認識できるだけのこと。
今は未来をつくるものじゃなく
来た道を振り返る為だけにあるとしたなら。
未来の為の最善の選択より
過去の為の最善の選択をするほうが
なんだか現実的で楽に感じられる。
未来に希望を抱くのではなく
過去に納得できるように
今を生きてみようと思う。
6/18/2024, 9:26:15 AM