一夜の夢

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今にも壊れそうな君の頬に手を添えて、私は語りかける。

ほら、泣かないで。
私が見えるかい。

涙を溜めた瞳が、動揺を浮かべて揺れている。
わななく唇で、必死に言葉を紡ぐ。

あなただったのか。

君の青い眼差しが、まっすぐに私を射抜いた。
あの日震える手で触れてくれた君は、今私に銃口を向ける。
全部知ってしまったんだね。
期待以上だ。
微熱も、終わらない悪夢も、君の純粋な瞳の前では崩れ去り、隠された真実をあらわにする。
私がそっと差し伸べる破滅を、君はいつもすんでのところで突き返す。
ああ、それでも君のすべてが私を惹きつける。
私はもう一度、君に呪いをかけることにした。

君に見えているのは現実かい?

君の迷いが手に取るようにわかる。
何が現実で何が夢か、わからないんだろう。
泣かないで。何も怖くないさ。
君には私がいる。
私だけが君の真実だ。

力なく下げられた銃口。
とても、とても愚かで愛しい君は、また私の罠に落ちてきた。

11/30/2023, 12:26:04 PM