【飛べない翼】
2010/9/27
最近は小児患者が増えてきたらしい。
今朝、看護師さんから聞いた。
だから子どもの笑い声がよく聴こえるようになったのか。
前は、まだ元気だった頃は、中庭で弾き語りをすることもあった。
今はといえば、体が重くてそんなことできない。
ああ、自由に歩きたい、
「空を飛べたらいいのに」という願いは、前にも増して夢のまた夢となってしまった。
今は歩くことさえも、夢となってしまったのだから。
2010/10/22
僕は今日、死のうと思った。
僕の病気は進行していくばかりで、ある日急に病気が治ったら、そのカーテンが少しでも翻ったならば、なんて考えていた。
だけど、もうそんなことを考えても無駄なところまで来てしまった。
だから僕は決めた。
もう死のう。
全て終わらせようって。
屋上から飛び降りて、何もかも無かったことにしようって。
あの日の歌も、ギターも、全て僕には関係なかった。
あの日の喜びは、僕にとって何の糧にもならなかった。
それで屋上に向かった。
少しだけ高い所に立って、手を広げると鳥になったような気分がして良かった。
あとは身を委ねて前に倒れるだけだった。
だけど、急に誰かに呼ばれたような気がして振り返った。
だめ、やめて、消えないで、って。
だけど、誰もいなかった。
きっと空耳、気の所為だ。
だけれど、不思議と「今日は死ぬの延期にしよう」なんて思ってしまって、それでこんな日記を書いているんだよ。
2010/10/25
今日も死のうとしたけど、どうしてもからだが動かなくてできなかった。
曇天の空に枯れ葉が舞うのを眺めながら、「今日も駄目だった」と無気力な脳はかんじていた。
なにもできない無力感、
翼はあるのにとべないなんて。
僕には足がついていて、
あるくこともはしることも、
屋上から身を投げることだってできるのに。
あと一歩のところで、どうしても出来ないのだ。
飛べない翼なんて、無意味だと思う。
11/11/2024, 12:24:09 PM