紗也

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「✕✕さんの容体が急変した。すぐに病院に来てください」

そんな電話がかかってきたのは、深夜2時。去年妻が難病にかかり、病院で入院していたのだが、容体が急変したのだ。

俺はすぐに病院へ向かった。ナースステーションにいた看護師に事情を説明した俺は、エレベーターに乗り、妻のいる病室へ向かった。

病室に入ると、そこには妻と医師がいた。妻は荒い息を何度も繰り返していた。

「あらゆる手を尽くしましたが、もう………」

医師から告げられた言葉に、全身の力が抜ける。

「先生……私と彼と……二人きりにさせてもらえますか……?」

妻が今にも消え掛かりそうな声で言った。先生は頷くと、俺達に一礼して病室を出ていった。

「✕✕!大丈夫?!」

俺は妻に駆け寄り、そう声をかけた。

「大丈夫だって………心配しないで……………何で◯◯君が泣いてるの……泣かないでよ………」

「だって………もう…もう、会えないんだよ……?!悲しくて堪らないよッ!!」

「そう……だね……私も……寂しいよ…………」

だんだんと声が薄れていく妻の声。

「ねぇ……◯◯君………最後に一つだけ……言っていい……?」

「何……?✕✕」

「いつまでもずっと………愛してるよ…………」

「俺も……誰よりもずっと……✕✕のこと、愛してる」

「◯◯君と………会え……て………良かっ……た…………………………」

4/9/2024, 11:35:16 AM