テーマ「ここではないどこか」
職場に黙って転職活動をしている現在が、最も充実している時間のように感じる。この場所に今の自分の心はなくなって、まだ漠然とした次の地に魂は向かっている。
果たして次の地は、今より良い場所なのだろうか。ここには魅力はもう感じないが、僅かな安寧はある。もっとブラックなところに辿りつくリスクも否めない。
黴雨の間の僅かな晴れ間に道路に出てきたミミズが、干からびて死んでいた。このミミズ達は、こうなることがわからずに、のこのことドブから出てくるほど低能なのだろうか。
ミミズが雨上がりに道路に出てくる理由は諸説あるらしいが、最も有力なのは、「呼吸困難」だと言われている。ミミズは水中で生活できるが、激しい雨に乱された水の中では息ができない。息苦しいここ、ではないどこかに救いを求めて、地上に現れるのである。
しかしそこに待っているのはさらなる絶望。より苦手な日差しに、その身を灼かれてしまうという末路をたどることになる。
このミミズの上を跨いで、私は次の場所に向かうことができるだろうか。
6/27/2024, 12:05:20 PM