『誰もがみんな』
誰もがみんな、心を持ってる。
嬉しがったり、悲しがったり、いっぱい何かを感じてる。
けれど、その心の形や色は、外側からはこれっぽっちも見えないから厄介だ。
たとえば、朝の満員電車で足を踏んできたあの人にも、家に帰れば愛する家族がいるかもしれないし、あるいは誰にも言えない孤独を抱えて必死に吊革を握っているのかもしれません。コンビニのレジで無愛想だった店員さんが、実は直前にとても悲しい知らせを受け取っていたとしたらどうだろう。
私たちは、すれ違う他人のことを「背景」か何かだと思い込んでいる節がある。自分だけが物語の主人公で、自分だけが複雑な感情の海を泳いでいると錯覚してしまう。
でも、本当は違う。
誰もがみんな、平気な顔をして、それぞれの地獄や天国を抱えて歩いている。
隣の人の沈黙が、安らぎなのか、それとも助けを求める叫びなのか。
私たちには、その心の蓋を開けて覗き込む権利はないし、透視する能力もない。できることといえば、ほんの少しだけ「想像」することくらいだ。
目に見えないその重さを想像すること。
「もしかしたら」という余白を、相手との間に持っておくこと。
それが、誰もが持っている心に対する、せめてもの敬意なのかもしれない。
2/10/2026, 11:09:55 PM