猫とモカチーノ

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真っ暗な夜に車の窓から遠くに見える街の光を眺めることが、幼い私のちょっとした楽しみだった。

街を照らす色とりどりな数多の光が、流れるようにキラキラする様子が、まるでテーマパークにいるみたいで、心を踊らせた。

「綺麗だね〜!」

妹とそう言いながら、その光を眺めるのが好きだった。

実家は田舎にあったので、家に近づくに連れて街の光が減っていくのが、少し寂しかった記憶がある。

そんな楽しい気持ちも、少し寂しい気持ちもしっかり覚えているのに。

いつからか、窓の外に流れる街の明かりを見ても何も思わなくなってしまった。

それ以前に、窓の外を見ること自体少なくなってしまった気がする。

あの頃キラキラして見えた光も、今じゃただの景色に過ぎない。

それが少し寂しい。


お題『街の明かり』

7/9/2024, 8:57:53 AM