「こっちに恋」 「愛にきて」
【こっちに恋】
大通りを真っ直ぐ行くと右端にお洒落な
喫茶店がある ピンク色の外装がいかにも
メルヘンチックだ!
ドアを開けると内装も可愛いが散りばめられ客層も女性客やカップルでごった返している。
結論から言うと男の俺には、非常に
入りづらい店だった。
なのに何故俺は、お店のドアを開けてし
まったのだろうと顔を赤くしながら
後悔するもドアの前に立ち尽くしていると
「いらっしゃいませ~ お一人様ですか?」 その声にドキリと俺の胸は、高鳴る。「こちらへどうぞ!」とにこやかな
笑顔で席まで案内される時間 俺の頭は、
真っ白になっていた。
長い黒髪をポニーテールにしてフリルの付いたこの店の制服であるスカートと白い
ブラウスとエプロンを着た彼女に席まで
案内され彼女が去った瞬間息が吐けた。
メニューを渡され去って行く彼女の後ろ姿を見ながらまた彼女が注文を取りに来たら
どうしようと焦っていた。
しかし注文を取りに来るのがまた彼女で
あれば良いと願ってもいた。
【愛にきて】
私は、今もの凄く機嫌が悪かった。
LINEのメッセージの噴き出しには
『ごめん 今 家出た』というメッセージと共に両手を合わせて平謝りする
スタンプが送られてくる。
私は、それを見て更に頬を膨らませた。
この喫茶店の外装が可愛くて前から行って
みたいと彼氏におねだりしていた。
やっと行けると思ったデートの今日何と
当日のデートの日彼氏は、寝坊した
電話で『先に行ってて良いよ』と言われたので先に店に来て待っていたらさっきの
LINEのメッセージであるそれで私の怒りは
MAXになったのだ
きっと出掛ける寸前で何かあったのだろう
彼の家は、大家族で兄弟達も多いと聞く
それに両親が仕事で忙しいらしい
だから年上の彼が年下の兄弟達の面倒を
見るのが彼の家では、当たり前になっている それは、分かっている仕方ない事だと 言う事も 重々承知な事も.....
けれど時々寂しくなる気持ちも無い訳じゃ
無い訳で..... 家族愛を少しだけ恋人に
向けてくれないかなあと言う思いも
私の唯のわがままだ 分かっている....
けど..... カランとドアベルが鳴った
店員さんの案内もそこそこに彼は、
真っ先に私が座っている席に向かい
肩で息を吐き下を向いていた。
「ごめん 待った!」その一言を彼が私に
放ち顔を上に向けた瞬間 汗をかいている
彼の顔に視線がぶつかる。
その彼の表情を見た瞬間私の中にあった
怒りや蟠りが一気に解ける。
私は、心からの笑顔で「ううん 全然
待って無いよ!」と 堂々と嘘を付く事が
出来たのだった。
(まぁ良いか!二番目でも!...だって..)
あんなに汗水掻いて走って来た彼の表情を
見れるのも彼女の特権だと思おう!
あんなに必死な表情で私の席まで私を
探して愛にきてくれたのだから!
4/26/2025, 7:42:26 AM