「もう一歩だけ」
もう一歩だけ進むことができたら
君の手を掴むことが出来るのだろうか
もう一歩だけ進むことができたら
君に声を届けることが出来るのだろうか
もう一歩だけ
君との距離が縮められたら
君の些細な表情の変化を感じとれるだろうか
もう一歩だけ近づいて
君を引き寄せることが出来たなら
君が流す涙の意味を知れたのだろうか
もう一歩だけ進んで
抱きしめたい
ここにいるよって伝えたい
でも、きっと今の僕じゃ届かないから。
視界がぼやけるを感じながら、僕はずっと
君を見ていた
遠くで救急車の音が鳴り響く
そろそろ、おしまいかな。
損壊した車の横で
倒れる僕の傍で
君はずっと泣いている。
君は、僕なんかのために泣ける
心の優しい人なんだね。
君は、僕なんかを気遣える
素敵な人なんだね。
そんなこと、前から分かっていたよ。
君は心が綺麗だ。
人は、声、顔、思い出や性格の順番で
人のことを忘れていくらしい。
なら、最後に声を出せば
君の記憶に残ることが出来るかな?
「 」
8/25/2025, 10:23:38 PM