とある国の、とある県の、とある地域に、一輪の花が咲いていました。その花はずっと、ずっと周りから、花なのならば花らしくあれ、と言われ続けていました。花はそれを信じ、花らしくありました。
しかし花が花らしくあったとしても、周りは花を否定しました。
花は疲れてしまいました。
花は自身を枯らしてしまおうとしました。しかし、止められてしまいました。
花はまた、花らしくあろうとしました。
暑い夏がやってきました。
花は誰もいない静かな場所で、一人話始めました。
「僕は僕らしくしていたいのねにね。世間体ばかり気にしてるから僕の異変に気づけねえのさ」
花は自身を枯らそうと、首を絞めました。
だんだん耳に空気が詰まり、音が遠くで聞こえるような気がしました。だんだん口周りが痺れてきました。だんだんあたまがぼーとしてきました。
そこに、ちょうはあらわれました。
驚いた花は紐を首から外し、隠しました。
「あ、いやごめんね。そんなに怖がらないで。」
蝶は怖がられたと思い、優しく言いました。
花は首の痕を隠しました。
それに気づかないで、蝶は話し続けます。
しかし、花はその話を聞いていません。
見られた?聞かれた?通報される?怖い。
「ね!友達!友達からでさ!私と交際を前提にお友達になろう!」
花は驚きました。咄嗟にいいえといっていました。
「じゃあ、普通の友達!お願いっ!」
花は訳も分からず、それならばと了承しました。
それから、花と蝶は仲良く過ごしましたとさ。
蝶は花を見つけました。その花は堂々としていました。
「僕は僕らしくしていたいのねにね。世間体ばかり気にしてるから僕の異変に気づけねえのさ」
蝶は惹かれました。
花であるはずの彼女は自身を僕と呼んだのです。
蝶は、花でした。花であるのに、恋愛対象は花でした。
蝶は自身を僕と呼ぶ花になら、受け入れて貰えるような気がしました。
蝶は花に惹かれてしまいました。
8/8/2023, 2:32:37 PM