君は、いつも正しい道を歩こうとしていた。
僕は、正しい道なんて最初から無いと思っていた。
それでも、君はまっすぐで、僕はそれに背を向けながらも、なぜか君の足音だけは聞いていた。
たぶん君も気づいていたんだろう。
僕が振り返るたびに、同じ景色を見ていることを。
気づかないふりをして、でも気づかないではいられないふりをして、
君と僕は、すれ違うようで、すれ違えなかった。
「またね」って言葉だけは、僕たちの間で何度も繰り返された。
終わりみたいで、始まりみたいで。
だから僕は、あの言葉がすこしだけ好きだった。
たぶん、君も。
君と僕
4/12/2025, 6:57:05 AM