叶わぬ夢
親の敷いたレールの上を歩まされていた私は、自分の夢を持つことが出来なかった。
途中から私は、夢を持たないようにしていた。たとえ小さな希望でも、口にしたら否定され、潰されてきたから。
親は絶対で、親の言うことは1つも間違いがない。だから親の言うことは聞かなければならない。これほど極端に、親の権力が強い家は、今はほとんど無いと思う。聞かなければ暴力も有りだった。完全に恐怖政治だ。
私自身は、子どもを頭から押さえつけずに、なるべくダメならダメな理由を話して、納得させるようにしている。間違っても暴力暴言はしない。時代もあるしね。
私が結婚を決めたのは、30をだいぶ過ぎてからだった。親友は「レイコ、あの家を出るために結婚するんじゃないでしょうね」図星だった。
まるっきり嫌な相手とは結婚する気にならないが「これで、ここを出られる」と思ったのは事実だ。
見ないようにしていたけれど、私の叶わぬ夢は、家を出ることだったのかも知れない。
No.140
3/18/2025, 3:41:57 AM