日差し
一日の始まりに、太陽の日差しを浴びるのが良いってよく聞くけど。
それはそうだ、って俺は毎朝実感してる。
まぁ、俺の太陽は。
「おはよう!朝だぞ、起きろー!」
なんて。
朝からはつらつとした笑顔が眩しい、彼なんだけど。
あぁ、今日も元気で可愛いな。
と思う気持ちを何とか抑えて。
まだ眠いフリをして、抱えていた掛け布団と一緒に寝返りを打ってみせた。
「……ん、まだ寝る」
「だーめ。これ以上寝てたら遅刻だぞ」
……ちょっと待て。
今の、『だーめ』可愛過ぎないか。
もう眠気なんてとっくに覚めていて。
彼への溢れる気持ちで、胸が高なっている。
けど、まだ起きるには、俺のときめきの日差しが足りないんだ。
だから。
俺が最後の抵抗とばかりに、抱き抱えていた掛け布団を頭から被れば。
起きろー、と彼が布団を剥がしてくる。
ほんとはここで起きても良いんだけど。
まだ、目を瞑っていれば。
「ったく、しょーがないなぁ。お前ってヤツは」
と、いつもだったら、ここで彼からの擽りの刑が始まる筈で。
でも、今朝は何故か、彼がフッと笑って。
「起きなきゃ、キスしちゃうぞ」
……え、えぇ?!
なんて。
まさかのびっくり発言に。
俺が思わず、目を開くと。
「よっしゃ、起こすの成功だな」
と、ニコニコ顔の、いつもの眩しい彼。
それでも、今はその笑顔が一段と輝いて見えて。
俺の中に、一日のやる気というか、エネルギーがチャージされるのを感じた。
……もし、あの時、直ぐに目を開けなかったら、彼は俺にキスしてくれたんだろうか。
明日の朝、試してみようかな。
End
7/2/2024, 11:39:52 PM