君が見た景色。
ふわり、海月が宙を舞う。
くらり、体が傾いていく。
おっと、なんて声が出そうになる。
ぴたり、地に足をつける。
ゆらり、上に移る水面が煌めく。
アクアリウムの檻の中。
自由にふよふよ舞っている。
ハイカラな間接照明に照らされて。
それは様々な色に変化する。
桜吹雪の様に優しい色になり。
雪景色の様に冷たい色になる。
草原の様に青々と茂り、
野花の様に華やかに。
僕も知らない君の横顔。
青い光に照らされて。
海月と融解してしまいそうな君は。
何を見て何を感じていたのか。
僕が見ていた景色には、
必ず君が笑ってて。
君が見ていた景色には、
僕は既に雑草同然か。
何に恋をしていたの。
君の内面を暴きたい。
珊瑚礁の様に彩やかだろう。
臓物引きずり出してその後、
朽ちた死骸のような白く脆く儚いだろう。
君の脳みそを食べたいの。
顔は綺麗に整えましょう。
だって僕の好みだから。
食べてもきっと分からない。
君の恋してたあの景色。
いつか追いつきたいのにさ。
君はもう既に僕から居ない。
そうしてここで待っている。
君が来るのを待っている。
体感約一世紀の恋愛。
実際約三ヶ月の恋愛。
長く続いたよこれでもさ。
君の理想には追いつけないけど。
何時か理想を塗り替えたいな。
全てを僕色にしたいから。
もう居ない君と海中散歩。
僕も海と融解していく。
意識朧気呼吸困難。
だけどそれが心地良い。
早まる心拍は子守唄。
目に映るのは海月の慈悲。
溶けて融けて解けて消える。
次があるならまた会おう。
青い横顔を暴きたい。
君の景色を見てみたい。
それから今度は結ばれよう。
桜散る季節に巡り会おう。
海月の幻想じゃないんだ。
本物の桜を二人で見よう。
肌を滑るカッターの様に。
やらなければ始まらないから。
葡萄酒の様に心を酔わせ、
脳髄が麻痺してしまうまで。
コープスリバイバーの様に爽やかに。
溢れ落ちる赤い宝石の様に。
深く魅惑的な恋をしよう。
ダイアモンドの毒のように
マラカイトの様に溺れよう。
8/14/2025, 10:15:13 AM