ミヤ

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"どこへ行こう"

どこへ行こうか。
目の前を勢いよく通り過ぎていく列車。
視線を上げた先に映る、古ぼけたビルの屋上。
或いは広告写真の中の深い海でもいい。
ずっと、此処では無い何処かに行きたかった。
以前はいつだって、何もかもを置き去りにしてこの身一つでどこまでだって行ける気がしていた。

貴女が隣に居てくれたから何処にも行かずに済んだ。僕は此処までだって思えたんだ。

でも、あぁ、そうか。
もう貴女はどこにも居ないのか。



なんてね。
貴女の言葉は今も鮮明に覚えている。
貴女が居たこの場所で朽ち果てると決めたから。
だから、今日も何処にも行かずに此処で生きている。

4/23/2025, 3:44:23 PM