相合傘。
それはもう2度とすることは叶わなくなってしまった。
なぜって? 僕……彼女と喧嘩してしまったんだ。きっかけは愚かな僕には到底分からない。何があの子を怒らせてしまったんだろう。
とぼとぼと1人雨の中、涙を雨で誤魔化すように、濡れながら歩く。
流石に寒くなってきたので、公園で雨宿りをする。……何してるんだろ、僕。
「そんな所で何やってんのよ!?」
聞き間違えようのない声。振り向くと彼女が立っていた。
「えっ、どうして、君がここに」
嫌われて、呆れられて。もう彼氏ではなくなったのではないかと。そう言うと、
「……その言葉を聞いてたった今呆れたわよ」
さあ、一旦私の家にいきましょ、ここから近いし。と僕の腕を引っ張る彼女。
いつの間にか雨は止み、雲の隙間から光が差し込む。僕のぐちゃぐちゃになった顔が露わになった。
「なあに、泣いてたの?」
「……別にっ」
結局、今日は相合傘をすることは無かったけど。またチャンスはやってきそうだ。
6/19/2023, 10:53:42 AM