やなまか

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先に死んだものに、年に何度か祈りを捧げる日がある。
彼女はすでに居ない両親に手を合わせていた。

「それって届くのか?」
「届くというか…。そうですね」
彼女はふんわりした眉を寄せて言葉を探す。そして手を合わせるように促してきた。
「私は…幸せに元気でやってるから心配しないで、とか伝えています」
「そう、か。そういうもんか」
オレも、何年も前に逝った仲間達を思い浮かべてみる。
(あー…またお前らに会いたいな。ずっと先になるけどな…)
少し静かな時間が流れた後、彼女はこう言った。
「きっとそういうことなんだと思います。あと…幸せにしたい人ができましたって言っときました」
戸惑うオレに、彼女は春の風のように優しく笑った。

11/8/2023, 11:45:30 AM