彗皨

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「天国に居ます。」
そう書かれた手紙は、文字が曲がっていた。
紙には血が滲んでいた。


『なにか、あの時のことを思い出したような気がした。』



あの日、私は死んだ。
刑務所内での自殺だった。
すぐに周りの人間が気づいたらしい。
冷たい地面で自分にナイフを刺すのは、なんとも言えない気持ちだった。
朦朧とした意識の中、赤色に染っていく床。
最後に、刑務所内で一番仲の良かった友達が駆け寄ってくるのが見えた気がした。

死ぬ直前に書いた手紙は、10年後も20年後も汚れたまま時は経つ。





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最後まで読んでいただきありがとうございました。
今回は"10年後の私から届いた手紙"というお題なのですが、少し違った意味になってしまいました。
このお話を読んだ方で前から私を知ってくださっている方ならもしかしたらお気づきかもしれませんが、実は今回のお話は私が初めて投稿したお話の続編、というよりかは番外編のようなお話になっています。
私が初めて投稿した時のお題は"1年後の私"でした。
当時書いた内容と、今回のお題に何かリンクするものを感じたような気がしたので今回はこのようなお話になりました。お題とは少しズレはありますが、是非私が初めて投稿したお話を読んでから、もう一度このお話を読んでいただけると嬉しいです。

2/15/2024, 7:15:33 PM