「虹のはじまり…虹が出てるところってさ、いくら
使っても無くならないくらいの金銀財宝が入ってる袋があるんだって。」
重たい剣を床に置いた彼女はそう言った。
それは、よくある根拠のない御伽話。
そんな化学的に説明できないような理相談を、
私は信じることができない。
不服そうな顔をしながら鍋の湯を沸かしている私を
見て、彼女はこう続けた。
「この戦争って、金山の取り合いでしょ?それならさ、その袋を取りに行った方がずっと平和でずっと
楽じゃない?」
私は目を逸らした。そんな袋なんかない、なんて言えない。私の反応がいつもと違ったのが面白かったのか、彼女はこう言った。
「この戦いが終わったら、私がその袋を探しに行ってあげる。私が帰ってくる、その頃になったらさ、世界は平和に戻ってるかなぁ?」
ぼろぼろの布がたなびいて、彼女の顔に柔らかな光が差した。私は、彼女の指先が透けている…いや、透けそうになっていることに気がついた。
「虹のはじまりを探して」
7/29/2025, 4:45:19 AM