どうしてこの世界は
たとえばメニュー表で見つけた知らない料理を注文してみるような。
これはどういう料理なんだろう、想像しながら待っているときのわくわく感。
食べてみて、知らない材料や調理法、別の文化の美味しさの概念に出会えたときのときめき。
もし美味しくなかったとしても、それはそれで満足なのだ。
これはこういうものだと知ることができたのだから。
それは世界のささやかな拡充であり、未知との遭遇だ。
既存のメニューに不満があるわけじゃない、いつも頼む定番メニューだってあるわけで。
見たこともない何かを思い描いて胸がわくわくする。
それはどうしてこの世界はこうなんだ!と不満を持つのとはまた別のことだ。
未知への憧れ、見たこともない驚異や神秘や何か素晴らしいものへの憧憬が現状への不満や逃避としか理解されないとしたらそれは実に寂しく悲しいことです。
私の憧れはこの世界の空の下では光らなくなってしまった。
6/9/2025, 3:04:06 PM