小絲さなこ

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「ついに魔の手に堕ちてしまった」


「ついに、買ってしまった……」
「はぁあ〜」
彼が息を吐く。

同棲生活も半年を過ぎ、季節はふたつ巡って、冬。
部屋の真ん中に鎮座しているのは、悪魔の暖房器具だ。

「やばいこれ……」
「人をダメにする暖房器具だこれ」

一度入ったが最後、出られなくなる。危険極まりない。

「タイマーセットして、時間になったら出るって決める?」
「そんなことで、こいつの魔の手から逃れられるとでも?」
「思わない」
「あー、今、これを買ってしまったことを後悔してる」
「じゃあ転売する?」
「するわけねーだろ」


────あたたかいね

1/12/2025, 8:22:39 AM