「恋物語」
とある男の叶わぬ⬛︎でした。
第一印象は最悪で、出会って一日目で喧嘩をしました。
自分と大体同じような10歳くらいの年齢なのに、彼の高圧的な態度に何度も嫌気が差しましたが、その大体は的を得ている発言で、男は何も言えませんでした。
何ヶ月かすると、彼と男の間には友情とも愛情とも絆とも言えぬ関係に落ち着きました。
とある日、男はとある噂を聞きました。
『⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎はこの国を不幸にしている。
彼奴は元々異国の者だ。⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎を火炙りで殺そう。彼奴は怪物だ。殺さなければ。殺さなければ。』
男はゾッとしながら、急いで彼を探しました。
彼は自室で本を読んでいました。
男は彼に告げました。この国にいてはいけない。
君は殺されてしまうから、急いで逃げて。
彼は目を見開いて驚きました。そして男に詰め寄りました。何故、何故自分がこんな仕打ちを受けるのかと。
死んだような夜でした。
男は彼の手を引いて、森を走っていました。
奥からは国の兵士たちが追ってきます。
男は、彼の手を離さないように力強く握り締めました。
彼もまた握り返しました。
ヒュン。と音がしました。男の胸には一筋の矢。
赤く赤く、白かったシャツが染められていきました。
彼は後ろを振り返り、男の手を取りました。
男はその手を振り解きました。
はやくにげろ。どうかいきてほしい。
そう男は言うと、男の目は濁っていきました。
彼は酷く困惑しました。途端に涙が溢れてきました。
何故か胸がとても痛い。
矢に打たれたのは男の方なのに。
兵士たちは、彼を捉えようと手を伸ばします。
ですがその手は空を掴んで倒れます。真っ白の兵士。身体中の血液を全て喰われたかのようでした。
彼は、男の屍に抱きつきました。
彼にとって初めての友人に感謝と別れを告げました。
5/18/2024, 2:06:17 PM