まだ知らない君
久しぶりに会った君は、
時の流れの魔法にかけられた様に、
すっかり大人になって、
穏やかな笑顔を湛えてた。
俺の記憶の中の君は、
小さな虫に悲鳴を上げたり、
怖い話に涙を滲ませたりする、
幼さの残る子供だったのに。
久しぶりに会った君は、
知らない人とも自然に話し、
慣れた手付きで料理を作り、
そして──驚く程、綺麗になっていた。
眩しく成長した君を前に、
記憶の奥に眠っていた、
想いが疼き出したんだ。
あの頃のように、
君の隣に居たい…って。
ねぇ、
俺に、もっと教えてくれないかな。
まだ知らない君のことを。
そして、
君にも、知って欲しいんだ。
まだ知らない俺のことを。
1/31/2025, 8:09:07 AM