駄作製造機

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【最悪】

ガタンガタン、、、

やっと仕事が終わった。

終電ギリギリに駆け込んだ電車に人は乗っておらず、私は上がる息を整えながら座席に腰をかけた。

『はぁ、、はぁ、、』

普通の高校を出て、普通の大学を出た私が勤めた会社は何とブラック企業。

毎日毎日早朝出勤で残業三昧。

もちろん残業代なんて出なくて、上司からは自分のイライラをぶつけられセクハラとパワハラ、モラハラの地獄だ。

こんな環境で生活している私にもちろん人権などなく、自宅にはいまだに荷解きしていないダンボールが積み重なり、出し忘れたゴミなどが玄関付近に鎮座している。

はっきり言えば最悪だよね。

辞めたいけど、いつも上司に流されてはぐらかされるからどうしようもない。

『明日も仕事だー、、』

明日は祝日。

何とか休みをもらえないかと上司に直談判したけど、私がいないと会社が回らないとか何とかで結局出勤コースになってしまった。

ブルーライトの見過ぎで疲れた目頭を抑えながら、暗い窓に映った妖怪のような見た目にため息をつく。

もう何日くらい2時間睡眠の生活をしているんだろう。

いっそのこと死んだ方が、、

プアアァン

電車の汽笛が鳴り、少しだけ明るかった外が線路に入ったことにより暗闇に閉ざされる。

チカチカと電車の照明が不意に点滅し、しばらくして戻る。

『、、?』

不思議に思いながらも駅が近づいた事を知らせる車掌アナウンスが聞こえたから重い身体を起こす。

〜ご乗車、ありがとうございます。まもなく、ガガガッピー、、、〜

アナウンスが止まった。

え?何で?

思考が上手く回らず、グルグルと疑問だけが頭の中で回転する。

電車はゆったりと止まった。

ピンポーンピンポーン

扉が開く音にビクッとなりながら恐る恐る外を覗く。

暗い。

そして霧が立ち込めている。

駅のホームの看板はハゲていて駅名が見えなかった。

『ここ、、どこぉ?』

半泣き状態になりながら辺りを見回す。

スウゥッと霧が晴れていき、月が姿を表す。

光を頼りに改めて周りを見回すと、駅のホームの真下に川があった。

私の最寄駅はそんな場所じゃない。

しかもそこそこ大きな川だし、船浮かんでるし。

何で?乗る電車間違ったかな、、?

『誰かー?いませんかー?』

意を決してホームに降りた。

コッ、、

一瞬で目の前の景色が変わり、会社の近くの駅に場面が変わった。

あれ、?何で、?

プアアァン

遠くから電車の汽笛が聞こえる。

『ようこそ。黄泉の駅へ。』

耳元でそう聞こえた瞬間、私の体は機体に押しつぶされた。

本当に、最悪の1日だ。

でも、、これでもう会社に行かなくて済む、、なぁ、。

ゴシャッ

6/6/2024, 10:48:44 AM