慰めも、賞賛もなかった。優しく撫でられたわけでもない。ただ、どこか不器用に数回頭に手を置かれただけ。猫を招くように手で呼び寄せられ、ただそれだけ。何も言わず、手が離れた後、「あはは」と笑い合っただけ。恋人でもなければ、片想いの相手でもない。ただの上司で、父親のようなひと。ただ、それだけ。それだけで──こんなにも空が、広く自由に感じるものらしい。
6/24/2025, 7:02:55 PM