ウツロ

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社会人になると夜明けを忘れてしまう。
サンタクロースを待ち侘びて見た夜明け。勉学に励んで見た夜明け。語り合った友と見た夜明け。自由を求めて見た夜明け。
今では時間を数字でしか見なくなった。
朝の9時、昼の12時、夜の21時。
自身と同様、空も時刻によって瞬時に切り替わっていくように感じてしまう。
だからほんの少しだけ、窓の外に意識を向ける。
真っ黒な中に滲み出す白。あのグラデーションがそこにある。
決して忘却ではない。認識しなかっただけなのだ。
──確かにそこに、夜明けはあるのだ。

9/13/2024, 6:21:19 PM