「ねぇ、アクセル」
「ん?」
「もしあの月が完成して、心を手に入れて、この機関も無くなって、自由になったとしたら…行きたいところとかある?」
あるかどうかも分からない未来の話。
「そうだな…美味いもん食べに行くのもいいし、景色が綺麗なところでのんびりするのもありだな」
考えながらあれこれ候補が出てくるアクセル。その未来の話は希望と一緒に私の胸を苦しめる。今は遂行する任務があって一緒にいられるけれど、もしそれが無くなったら…もう一緒に居る理由がない。
「お前はどうしたい?」
「んーそうだな」
自分で聞いておきながら上手い返事は見つからない。
「なんもねぇのか?」
「うん、いざ自由になったらどうしたらいいかいいか分からない、かな」
私の返事を聞くと暫く考え込むアクセル。
「それなら自由になってから決めたって遅くない。一緒に色んな世界にいってお前のやりたい事、行きたいとこ、見つけようぜ」
「…一緒に?」
「そうだ。1人より2人のが楽しいだろ。勿論、ロクサスだって誘えば付き合ってくれるぜきっと。」
私といるのが当たり前のように話してくるアクセルに胸の辺りがギュッとなる。苦しいけど、嬉しい。
「ふふ、アクセルがいればどこへ行っても楽しそう」
「そうか?でも俺も、お前がいるならどこにでも行ける気がするな」
「じゃあ色んなところ連れて行ってね。約束。」
「あぁ、記憶したぞ、と」
いつもの夕焼け空の時計塔、小さな未来の話をした。
-ここではないどこか-
6/28/2024, 1:08:31 PM