川柳えむ

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 限りなく続く、白。
 どちらが上か下かもわからない。本当に真っ白な空間。
 前に進んでいるのかも、上っているのかも、下っているのかも、もしかしたら、後ろに後退しているのかも、私はそれすらわならない。
 ただ、辺り一面真っ白で。他には何も見当たらなくて。何も感じなくて。
 そこに、ただ独り、ぽつん。と、自分だけがいるようだ。

 ここは、どこだろう?
 どうして、こんな場所にいるのだろう?
 どうやって、ここに迷い込んだのだろう?

 真っ白な空間。
 何もない空間。
 白しかないから、私自身が本当にそこにいるのかさえもわからない。
 そんな消え入りそうなほどの白の中、私は、たぶん、歩き続けていた。
 どこに向かっているのかも、進んでいるのかもわからないままに。

 歩き続けた先に、私は見つけた。
 白い檻の中に閉じ込められ、隠された『私』を。
 そこで、何もないと思った真っ白な空間は、からっぽの私の心だと気付いた。
 白に隠されて、閉じ込められた――いや、自分で檻に閉じ込めていた。からっぽの私自身を。
 哀しくなって、鉄格子越しに、抱き締めた。何も持たない私を。
 一筋の涙が頬を流れ落ちると、世界が暗転した。

 ――朝だ。
 目覚めると、カーテンの隙間から、日差しが直撃していた。眩しい……。
 ふと、涙を流していることに気付いた。
 何か悲しい夢でも見ていたのだろうか?
 でも、どこか心はすっきりしていて。体を起こして大きな伸びをした。
 いつもの一日が始まる。それでも何かが変わるような、そんな予感と共に。


『こんな夢を見た』

1/23/2026, 10:36:13 PM