スナエ

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 生まれてから死ぬまで、ここを出られない。
 私は、この村に囚われている。
 ずっと、座敷牢に閉じ込められ、生け贄にされる時を待つしかないんだ。
 ある日、屋敷に少年が来た。彼は、私がいるところに迷い込み、息を呑む。
「なあ、あんた、そこから出たいか?」
「出たい……」
「待ってろ」
 彼は、その辺の置物を持ち、錠前に振り下ろした。鍵が壊れる。
「出よう」
「私、足が……」
 昔、脱走しようとした時に、足の腱を切られていた。その傷痕を見て、彼は苦々しい顔をする。
 そして、私を背負って逃げ出してくれた。
 君と、どこまで行くのだろう?

2/11/2024, 10:12:47 AM